2001.03.07

学校ホームページのあり方について
     森竹高裕
  藤枝市立広幡小学校

 

このたび勤務校の学校ホームページを開設しました。 まだまだわからないことが多く、手探りの状態ですが 学校ホームページのあり方について考えてみました。

藤枝市立広幡小学校
http://www2.tokai.or.jp/hirosho/

 現在、「総合的な学習」など10のコンテンツがあります

 

◆本校の基本方針

 本校のホームページは、児童・保護者・教員向けに作成している。児童には教材として、保護者には連絡や広報の場として、教員には授業実践を公開する 場としての利用を考えている。今後、学校ホームページがよりよく活用されるために、次のように発展させていきたい。

1.児童:役立つ教材として
 子どもに役立つ教材として利用する。市内各小学校で地域の紹介ページを作 り、相互に利用し合う「藤枝市総合学習マップWeb版」、調べ学習に役立つリンク集、学習成果を発表し掲示する場を用意するなどがあげられる。

2.保護者:「学校だより」等の印刷物との連動
 印刷物だけでは、カラー写真や子どもの声、動きまで表現することができない。それを補うものとして、ホームページを利用する。またPTA活動のペー ジなども設け運用を任せることで、「開かれた学校」に近づくのではないだろうか。

3.教員向け:ホームページの作成
 より多くの人の手で情報発信ができるように、将来的には、教員では学年一名程度、児童では高学年の児童がホームページ作成ができるようにする。

 

◆学校ホームページのあり方 〜HPは地域に開いた巨大な模造紙〜

1.学校ホームページ(HP)の基本方針

このホームページは、次の基本方針に基づいて作成をおこなった。
 ・子ども自身が作成し、学習成果を掲示する場である。
 ・本校のホームページを交流のきっかけの場として用いる。

本校のホームページは、子ども自身がページを作成し学習成果を掲示する場と して考えている。学校HPは、子ども自身が手を入れることができる子どもに 開かれたものにしなくてはならない。パソコンに堪能な教員が一人で作って、 その内容を競うものにしてはいけない。

子どもがページを作成するので、見栄えがいいものばかりではないだろう。学 習してきたことを紙の模造紙に書いて多くの人に見てもらうのと同様、学校H Pは、学習成果を掲示する場として設定した。いわば地域に開かれた巨大な模 造紙である。学習成果の掲示板であるので、年度ごと子どもの手で更新してい くことになる。

インターネットの魅力は情報を得ることだけではなく、それよりもむしろ人と のつながりを生み深める点にある。学校ホームページを開くことも、交流の きっかけを作る手段することをねらっている。

例えば、学習している内容について詳しい人がいたら、メールで質問したり実 際に話を伺うことができる。また、遠くの学校の子と意見交換をしたり、学習 内容のまとめをHPで紹介し合うことができる。

こうしてデータ(学習内容)を共有化することで、より発展的な学習が可能で ある。このように人とのつながりを生む場として、学校ホームページを活用し たい。さてこうした観点から、次の5つの活用法が考えられる。

 (1) 藤枝市総合学習マップweb版
 (2) 総合的な学習の学習発表の場として
 (3) 生活科マップweb版
 (4) 交流の窓口として
 (5) ポータルサイトとしての役割  

2.学校ホームページの活用法

(1) 藤枝市総合学習マップweb版

まず、自分たちの地域を紹介する場としての活用法が考えられる。自分の地域 を調べることは、その地域の理解をより深めることになる。調べたことを 「○○寺について」のようなページを作成する。

自分の地域を紹介するページができあがったら、藤枝市の各学校をリンクす る。各学校がリンクを張ることで、藤枝市全体を紹介するサイトができあが る。子ども自身が作成しているから、子どもの視点に立ったページになるはず である。

これは、藤枝市子ども専用調べ学習サイトと呼んでもいいもので、藤枝市のことを調べるときに、まずここから入って調べればよい。そこで何かよい情報を 見つけ、より詳しいことを知りたいときには、その学校へ依頼したり、連絡先 を教えてもらうことができる。

総合的な学習では、地域との連携が求められている。地域との結びつきを求めて、いきなり広大なインターネットの世界に飛び出していってもよい情報に出逢えるとは限らない。それよりもまず、自分たちが作った地域の情報をお互い に活用し合うことが、地域との連携を深めることになると考える。総合的な学 習マップweb版としての活用が考えられる。

(2) 総合的な学習の学習発表の場として

学校ホームページを、総合的な学習の発表の場として活用する方法が考えられる。総合的な学習では、ワークショップに代表されるように学習成果を発表する手法が取られる。これと同じことを学校ホームページでおこなうのである。

紙の模造紙にまとめる代わりに、ホームページにまとめて広く公開する。校内で情報交換することはもちろんだが、地域の人々や同じ内容を学習している学 校の生徒に対しても、学習成果を見てもらうことができる。

また、学習のまとめとしてホームページというデジタルの記録を残すことは、 ポートフォリオの作成につながる。ポートフォリオとは、一言で言うと「情報の一元化」である。学習の成果(情報)を一つに束ねることで、そこに新しい価値が生まれる。

具体的には、総合的な学習のまとめとしてホームページを作る。それは、学習の足跡を残すことである。年度が変わったら、情報(学習成果)を精選して、 特によいものを残し蓄積していく。

学習の足跡を、四課題(環境・国際理解・福祉健康・情報)など見やすく分類すれば、後輩たちの学習の手がかりにもなる。中には、ゲストティーチャー・参考HP・本などの情報も含まれるだろう。

従来のように紙を中心としたまとめでは、情報(学習成果)は散逸してしまうか紛失してしまう。一生懸命取り組んだ結晶であるのだから、次につなげた い。これを可能にするのが学校ホームページである。こうした学習成果を残し ていくことで、広幡小のポートフォリオができていく。こうした積み重ねが 「特色ある学校」を作ると考える。

 

(3) 生活科マップweb版

情報を発信するのは、何も校外だけではない。学んだことを次年度以降に生か してもらうために、校内に向けた情報発信もあり得る。総合学習マップweb版と同様に、生活科マップweb版である。

もちろんこれまでも、生活科マップは作成されてきた。来年度の1年生や2年 生のために、学校の地図や学区の地図も作製されたことであろう。ただ、紙の情報はそのままだと散逸してしまうか紛失してしまう。だからこそ、学校HP というポートフォリオの中に情報を一元化しておく必要がある。

単元の学習を始める前に、学校HPからまず情報収集をすることができる。学校探検で行ったところ、探険の反省やアドバイス、お祭りで作った設計図、秋のお店で作ったもの、誰に聞くと詳しいか、など過去の記録を調べることができる。

記録のためだけに生活科の時間を使うことはできないので、計画と記録を同時進行でおこなう。つまり、紙と鉛筆の代わりにパソコンを使わせるのである。 「ここは記録に残しておきたい」という活動は、直接パソコンで作業させる。

こうした積み重ねが、次年度につながっていく。子どもたちも事前にどんな学習内容かを理解できる。すぐ近くに先輩たちがいるから、分からないことがあ れば「ここはどうすればいいの?」と直接質問することもできるだろう。

 

(4) 交流の窓口として

学校ホームページは、同じ内容を学習している学校(児童)へ「ここがわから ないから教えてください」とメールを送るきっかけ作りになる。また反対に、自分たちの活動の様子を公開することにより、問い合わせが来ることもあるだろう。

これは子ども同士の交流にとどまらない。メールボランティアと呼ばれる児童の質問に答えてくれる人を募り、地域との窓口を作る。この窓口は、より学校を身近な存在にすることだろう。メールのやりとりから、実際に学校で教えてもらうゲストティチャーに発展することもある。

最近では技術の発展に伴い「NetMeeting」というソフトを使ってテレビ会議ができるようになった。遠く離れた学校の子とも face to face で話し合いがで きる。テレビ会議のあと、みんなで日本地図を広げて「ぼくたちと同じことを考え活動している人がここにいるんだ」ということになる。

また、学校ホームページに掲示板を作ることによって、多くの人の声を載せることができる。学校からの一方的なお知らせやお願いだけでなく、行事に対する保護者からの感想などより双方向のコミュニケーションができる。卒業生の 声なども載せることができる。

ただしこの際に気を付けなくてはいけないのは、匿名による無責任な発言である。誹謗、中傷はもちろんのこと、発言には十分な自覚が必要である。そのためには、本名を名乗ることを原則とすべきである。単なる告発のための場としてはならない。

インターネットは情報をつなぐのではなく人をつなぐものだと考える。それがインターネットの一番インターネットらしい使い方だと思う。より豊かな交流 を生むために学校ホームページという場を上手に活用したい。

 

(5) ポータルサイトとしての役割

ポータルサイトとしての活用が考えられる。ポータルサイトとは、インター ネットを始めるときには、いつでもこのページから始めるというスタートペー ジのようなものである。本校の子どもたちがインターネットに接続するときに は、いつも本校のHPからスタートできるようにしたい。

子どもたちが調べ学習をするときに、自分の学校からいろいろなところへいけるような役割を持たせたい。そのためには、家庭でも調べることができるようにするためにリンクを張ったり、調べ学習サイトを設ける必要がある。

○関連ホームページ○
静岡教育サークル「シリウス」
http://homepage1.nifty.com/moritake/

 

日刊・小学校教師用ニュースマガジン 481 2月25日
より転載させていただきました。
★MM『日刊・小学教師用ニュースマガジン』登録・解除  http://www.synapse.ne.jp/~wahaha/index1.htm 

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